研究内容

カーボンニュートラルや脱炭素社会の実現へ向けては、草本系バイオマスの場合と同様に、木質系においてもカスケード利用の視点が重要である。また、2018年における日本のCO2吸収量5,590万トンのうち84%の4,700万トンが森林による吸収であることからも分かるように、森林は極めて大きなCO2貯留能力持っており、草本植物に比較すると多年生である樹木はCO2の貯留安定性も高い。しかし、南米やアフリカと同様に東南アジアでは依然として天然林の減少が続いており、CO2収支が大きく排出側に偏っている。東南アジアでは人工林の面積が増加傾向にあるものの、森林面積の大きいインドネシアの天然林の減少が顕著である。森林認証制度等の適切な利用の下で地球温暖化の防止に逆行する違法伐採を抑制し、安定した木材利用を進めるためには、人工林の適切な管理とそこから出される木材の効率的な利用が重要である。また、一般に東南アジアの人工林材は天然林材に比較して製材原料としての品質が劣ることから、今後は育種による改善が必須である。しかし、草本植物と比べ樹木は播種から開花までの世代時間が非常に長く、従来の特定の形質に基づく選抜育種では優良品種の作出までに数十年を要しているのが現状である。従って、ゲノム解析やその他の先端技術を駆使することにより、材積や材質に優れた精鋭個体を早期に選抜し、育種期間を格段に短縮することが重要であると考えられる。

本プロジェクトでは、ゲノム育種の土台づくりを進めるために、モデル植物を用いた先導的な育種技術の開発と共に、先ずは東南アジアで植栽される樹種について基本的な遺伝情報を収集する。また、遺伝情報と形質情報の両者を活用し、主製品(ゴム、油、製材)の生産性向上に加えて、各々の得られる副産物(廃樹皮、廃材、空果房)の利用促進に寄与する形質について、比較的容易に改変できるもの(例えば、リグニン量や組成など)から順次育種により改善を図る。

1.モデル樹種を用いた育種法の検討
2.インドネシアのフタバガキ科樹木に代表される、東南アジア圏の在来種の遺伝情報と形質情報の収集
3.ゴムノキ、パーム、ユーカリ、アカシア等、東南アジア圏の人工林で栽培される樹種の遺伝情報と形質情報の収集
4.遺伝情報と形質情報を統合した効率的な育種技術の開発

研究者

研究者

梶田 真也

東京農工大学 農学研究院 生物システム科学部門 教授

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