持続可能なバイオマス耕作技術の確立

カーボンニュートラルに貢献する陸上のグリーンカーボンでは、イネ科植物が草本系バイオマス作物のほとんどを占め、食料、飼料、バイオ燃料等に生産・利用されている。イネは、米を主食とする東南アジアでは最も栽培面積が多い。生産されるバイオマス量も最大である一方で、籾殻、稲わらのカスケード利用、バイオマスプラスチックなどバイオマス資源利用、家畜添加飼料などの利用は十分に進んでいない。食料や飼料の他、水素などのエネルギー、バイオマテリアルなど多用途に利用可能な新しいタイプの次世代イネ品種の開発が求められる。イネは、光合成・高バイオマス生産など重要形質に関わる遺伝子の同定と機能解明が最も進んだ作物でもある。これまで、化学肥料多肥条件で収量、バイオマス生産の高い品種は育成されているが、持続的農業生産システムに適した高バイオマス品種はほとんど開発されていない。日本は2021年に緑の食料システム戦略を策定し、脱炭素次世代農業への転換を目指している。これをさらに発展させ、エネルギー・材料生産も対象としたイネの開発を行う。

木質系においてもカスケード利用の視点が重要である。また、日本のCO2吸収量の84%が森林による吸収であることからも分かるように、多年生である樹木の森林は極めて大きく安定なCO2貯留能力持っている。しかし、東南アジアなどでは人工林の面積が増加傾向にあるが天然林の減少が続いている。違法伐採を抑制し、安定した木材利用を進めるためには、人工林の適切な管理とそこから出される木材の効率的なバイオマス利用が重要である。

海洋のブルーカーボンでは、水圏環境に生息する単細胞性光合成生物である微細藻類は、CO2を吸収しながら、農業や環境浄化への寄与と燃料生産を行うことができる。また、陸生多細胞生物と比較して高いバイオマス生産性を示す。微細藻類に由来する脂質を原料としたバイオジェット燃料については、実用化研究が実施されている。また、微細藻類を用いたオメガ3脂肪酸生産技術は、天然魚由来オメガ3脂肪酸に依存しない持続可能な魚類養殖に必要となっている。

本研究課題は、陸地のグリーンカーボン、海洋のブルーカーボンのバイオマス生産、カスケード利用、全体の物質循環の構築による持続的なバイオマス材料耕作システムの開発に取り組む。

関連する研究テーマ

研究体制

プロジェクトリーダー

研究開発リーダー

大川 泰一郎

東京農工大学大学院農学研究院 教授

構成メンバー

プロジェクトメンバー

梶田 真也

東京農工大学農学研究院 生物システム科学部門 教授

プロジェクトメンバー

田中 剛

東京農工大学大学院工学研究院 生命機能科学部門 教授

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