拠点長挨拶

養王田 正文

養王田 正文

21世紀の産業革命:炭素狩猟社会から炭素耕作社会への進化

私たちは、生活に必要な食料・エネルギー・材料のほとんどを、植物が光合成によって固定化した炭素に依存しています。人類は農業を発明することで狩猟社会から耕作社会への変革に成功し、大量の食料を獲得することを成功しました。しかし、エネルギーや材料は、いまだに過去の固定化された炭素(化石資源)に依存した狩猟型炭素社会となっており、燃焼により発生した二酸化炭素が地球温暖化の原因となり、大量のプラスチックが地球上を汚染し、地球規模の環境問題となっています。

太陽光、風力、水力発電などで炭素を介さないエネルギー耕作が可能ですが、航空機や船舶の燃料やプラスチックなどの材料は炭素に依存し続けることになるので、バイオマスを用いた炭素耕作による炭素循環が不可欠です。また、大気中に放出された二酸化炭素を回収する唯一の方法が炭素耕作です。我々は、炭素耕作による、炭素狩猟社会から炭素耕作社会への産業革命の実現が21世紀の人類の課題です。

本拠点の目指すもの

炭素耕作に基づく炭素循環型社会実現のためには、バイオマス生産・変換技術、さらに廃棄物の利用までを総合的に取り組んだバイオエコノミー研究開発が必要です。

本拠点は、まず、炭素耕作によるエネルギー生産と材料としての炭素の貯蔵によりゼロエミッションへ貢献します(SDG7、12、13)。また、海洋は広大な面積があり、炭素耕作のフロンティアであるため、藻類を用いた炭素耕作を行います。さらに、バイオマス由来の材料開発を進めることで、海洋を汚染から守ります(SDG12、14)。バイオマス耕作は、多くの場合、耕作地の拡大による森林破壊や土壌への影響による環境破壊を伴います。また、食糧生産との競合も大きな問題です。従来の農業作物は、人類の食糧として最適な形で進化しています。すなわち、動物に必要な栄養素を含有し、一定期間保存できるものです。しかし、これらの作物が炭素耕作に適したものであるとは言えません。持続可能な炭素耕作に適した作物を開発・実用化し、エネルギーや材料生産の残渣の効果的な利用により、これらの課題を克服します(SDG2,15)。炭素耕作社会は日本だけでなく、東南アジア諸国にも受容される新たな価値の創造を目指します(SDG17)。

バイオマスを原料としたエネルギーや材料は経済性だけでは化石資源由来のものと競合することが困難であることも事実です。経済性だけで評価しない地域の持続性、社会の持続性という観点から捉えなおし、社会の受容性に根ざした新しい炭素循環型社会の価値体系を提案し、東南アジア諸国との同意形成や、技術移転を構想します。炭素耕作社会は日本だけでなく、東南アジア諸国にも受容される新たな価値の創造を目指します。

東京農工大学は、農工連携を軸として設立された大学であり、バイオエコノミーに関する産学官共同研究に関して多くの実績を有しています。全学一体となり内外の大学、研究機関、企業と協力して、本拠点の目的を達成します。

拠点プロジェクトリーダー
東京農工大学 卓越教授

養王田 正文

拠点・プロジェクトの構成図

拠点・プロジェクトの構成図 拠点・プロジェクトの構成図

運営体制

運営体制 運営体制