稲わら等といった農業廃棄物であるリグノセルロースバイオマスに含まれるセルロース・ヘミセルロースの変換プロセスが注目を集めており、
(1)単糖類に変換する糖化プロセス
(2)単糖類の発酵プロセスを経たアルコール類や水素等の製造が注目されている。
現在、主流の変換プロセスである酵素法は酵素の経済性に悪く,コスト面での課題が残っている。そこで我々は酵素を用いない、繰り返し利用可能な固体酸触媒による稲わらの二段水熱糖化法(図1)を開発した。この固体酸による二段水熱糖化法は、反応性・反応速度が高く、かつ選択性も高いことが特徴であり、従来手法よりも有価物の生産能力が高い。また、固液反応であるため糖化後液体から固体触媒の分離が容易であるだけでなく、廃液が発生しなく中和工程も不要であるため、環境調和性に優れている。当該糖化法では、第一段目で水熱反応性の高いヘミセルロースを水熱糖化させた後に、第二段目で残りのセルロースを水熱糖化させることで、稲わらを原料としたバイオマスから約75%の単糖収率を達成している。