バイオマス由来材料の確立
バイオマスが有する圧倒的な賦存量と再生可能でカーボンニュートラルな特性を考慮すると、バイオマスが有する化石資源の代替としてのポテンシャルは絶大である。植物バイオマスの乾燥重量の大部分はセルロース、ヘミセルロースおよびリグニンで構成される細胞壁が占めることから、これらの主要成分の有効利用が植物バイオマス利用の本質であるが、さらに、植物種によっては植物油脂などの成分も多く含まれるため、それら全ての成分を材料や化学品に変換することで、バイオマスの価値を最大限に高めることができる。特に、バイオマス由来の材料や化学品開発においては、化石資源由来のものと同等の性能を求めることはもちろん、さらなる高機能性付与も、その用途拡大を実現する上で不可欠である。特に、未知なる感染症と向き合っていくことが予測されるポスト・ウィズコロナ時代において、対感染症に向けた材料・化学品開発、すなわち、ポスト・ウィズコロナ社会と調和した新たな視点での材料開発が不可欠である。
バイオマス成分を用いて石油由来の化学品と同等の性能を有する化学品へと変換する技術を開発し、さらに、高い環境調和性とポスト・ウィズコロナ時代への調和性を有するこれまでにない材料設計および化学品開発を目指す。イネおよび木質を主な対象とし、その中心的な構成成分であるセルロース、ヘミセルロース、リグニンの変換技術開発、東南アジアに豊富に存在する未利用資源由来の植物油脂を原料とした変換技術開発、藻類などから抽出する植物油脂を原料とした変換技術開発を行うとともに、これらのグリーンプロダクツの社会実装を見据え、産学連携による研究開発の加速化、対象とする未利用資源を豊富に有する海外新興国(特にASEAN)との協業展開も行う。
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研究体制
構成メンバー
政井 英司
長岡技術科学大学 技学研究院
物質生物系 教授
上村 直史
長岡技術科学大学 技学研究院
物質生物系 准教授
長畑 律子
産業技術総合研究所 化学プロセス研究部門
主任研究員
平 敏彰
産業技術総合研究所 化学プロセス研究部門
主任研究員
竹内 和彦
産業技術総合研究所 化学プロセス研究部門
職員
道信 剛志
東京科学大学 物質理工学院
材料系 教授
参画機関
ジャパンインベストメントアドバイザー
AGC
四国計測工業
ライケット
日本バイオデータ
digzyme
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