パームヤシ空果房等のバイオマス廃棄物をバイオ燃料に変換するCO₂ゼロエミッション利用法の一つに、急速熱分解によるバイオオイルへの変換がある。バイオオイルには炭化水素類だけでなく有機酸等の含酸素化合物も含まれているため、直接利用が出来ず、アップグレーディングが必要である。近年、バイオオイルのアップグレーディング法として、クリーンエネルギーである水素を水蒸気改質によって製造する技術が注目されている(図1)。天然ガスの水蒸気改質技術は既に工業化されており、その改質技術は流用可能であるものの、有機酸等の含酸素化合物を原料とする場合では触媒が失活し易いことが課題である。
我々は触媒のシンタリングやコーク生成機構を明らかにし、コア@シェル触媒や酸素貯蔵能力をもつCeO₂を利用したNiやNd@CeO₂-Al₂O₃触媒(図1)を開発し、有機酸の水蒸気改質においてもより高い水素収率および長い寿命をもつ触媒の開発に取り組んでいる。