炭素耕作を受容する社会の実現

本開発で構想される「炭素耕作社会」を社会のあるべき姿として共有し、特に技術が実装される地域社会の持続性という観点からバックキャスティングして、社会に受容される技術開発として評価する手法を開発する。このため、育成型での活動中に、多様な価値を統合する方法論としてドーナツ経済学の概念を活用することが妥当と判断したため、これをモデルとした新たな指標を構築・活用する。これを特に実装地域の枠組みに適応することで拡張し、本プロジェクトの評価指標マネジメントとして確立する。加えて、さまざまな主体によるニーズをふまえた対話の場の形成を行うことで、研究現場へのフィードバックを実現する共創の場を構築する。

① 地域の持続性を左右する制約条件の明確化

バイオマスの資源循環においてはそのベースとなる「地域」のフレームが不明瞭であり、しばしば社会実装のマネジメントを困難にしている。以下の要素の分析により、地域循環圏のフレームを明確にする。育成型では「稲」中心とした循環からプロセスを構築することが妥当と判断したため、本格型期間中にはこれを「稲」「森林」「藻類」へと広げるスキームを明確に、実装プロジェクトをマネジメントしていく。

② 社会に受容される技術の新しい価値の要素の明確化

経済的な価値観だけでなく、炭素耕作による価値創出ではさまざまな価値が想定される。新たな価値として構想するのは、生産現場における環境性・経済性・社会性の向上、とりわけ生物多様性や持続的な生産性、食料安全保障、文化、健康など、SDGsの目指す指標を重視した価値観の創出を検討し、さらに、これらをサプライチェーンに反映することで価値化する。これらの価値はプロジェクト成果の評価指標として活用すると同時に、新たな価値を「生産から消費までを繋ぐ価値創出のストーリー」として明確にし、対話の場での議論で活用する。

③ 炭素循環型社会のための新しい技術デザイン

現在本拠点で構成する技術要素は、バイオマス資源活用のための生産技術、マテリアル開発やエネルギー利用技術が中心である。本テーマでは、これらの技術を活かすための周辺技術や社会技術のデザインを検索する。対象技術はこれまでの対話でクローズアップされた「生産現場と消費者を繋ぐ技術」、「資源の輸送に関する革新的技術」「スマート農業によるDX」「トレーサビリティに基づく価値創出」「バイオマスクラスター」など、資源と地域を結びつける技術要素を中心に検索し、プロジェクトを拡張していく。
なお、炭素循環型社会のデザインの一環として、府中市及びサントリー、キユーピー、東芝、NECと農工大学の6者協定とも連携しつつ地域社会のデザイン事例を検討する。

研究体制

プロジェクトリーダー

研究開発リーダー

永井 祐二

東京農工大学 大学院工学府 特任教授

構成メンバー

プロジェクトメンバー

池上 貴志

東京農工大学 大学院工学研究院
准教授

プロジェクトメンバー

若松 弘起

東京農工大学 特任講師

プロジェクトメンバー

平塚 基志

早稲田大学 人間科学学術院
教授

プロジェクトメンバー

野津 喬

早稲田大学 理工学術院
教授

プロジェクトメンバー

中野 健太郎

早稲田大学 理工学術院
主任研究員

プロジェクトメンバー

西嶋 昭生

日本工学アカデミー
主査

プロジェクトメンバー

佐村 秀夫

日本工学アカデミー
コーディネーター

プロジェクトメンバー

佐伯 とも子

日本工学アカデミー
コーディネーター

プロジェクトメンバー

神本 正行

日本工学アカデミー
会員

プロジェクトメンバー

坂西 欣也

日本工学アカデミー
領域長補佐

プロジェクトメンバー

野村 正勝

日本工学アカデミー
会員

プロジェクトメンバー

大和田 順子

立命館大学 日本バイオ炭研究センター
客員研究員

プロジェクトメンバー

吉川 成美

総合地球環境学研究所 上廣環境日本学センター
センター長

プロジェクトメンバー

江川 賢一

東京家政学院大学 人間栄養学部
教授

参画機関

イオン

イオンアグリ創造

イオン環境財団

イオン琉球

エフピコ

福島県双葉郡広野町

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