ワークショップに参加した2名の農工大生による活動報告の第2弾になります。
今回は、東京農工大学大学院 農学府 農学専攻 生物生産科学プログラム修士1年
宮下大輝さんの報告です。

<活動報告2>
 私は本プロジェクトの炭素耕作社会を背景とした里地の循環というテーマに興味を持ち、
今回の福島ワークショップに参加させていただきました。自身の目的として、
私が東京農工大学大学院で研究しているイネバイオマスの予測モデルを進めるにあたって、
バイオマスが実際に社会の中でどのように生かされているのかを、
視察やディスカッションを通して理解するためでした。
 
 6月10日に、福島県双葉郡双葉町にある東日本大震災伝承館を見学させていただきました。
世界に類を見ない大規模な複合災害を被った東北地方の詳細な記録や教訓を未来へ伝承させるための施設です。
循環型社会を考える上で、その地域の歴史的な背景を鑑み、コミュニティや文化に寄り添う必要があることを学びました。
 次に視察を行ったのは、浪江町にある福島水素エネルギー研究フィールドでした。
大規模な太陽光発電を利用した再生可能エネルギーによる世界最大級の水素製造施設です。
水素を製造する工程の中でCO2を発生させないという特徴を持ち、現代社会で必須なエネルギー源を補佐する重要な施設であり、
バイオマスによる発電から水素製造までのビジョンや課題をより明瞭にする見学でした。

 同日最後に視察したのは、バイオマスレジンホールディングスの実証水田でした。
米を中心とした国産バイオマス資源を活用し、プラスチック樹脂原料を製造販売する会社で、
それに利用される稲を栽培している水田です。耕作放棄地の問題が叫ばれている中で、
所謂工業米としての利用方法が徐々に具現化していることを知り、食用米や、飼料米に次ぐ
重要な産業になる可能性を感じました。

 6月11日には、富岡町の実証圃場にて田植え体験を行いました。
手植えの大変さと機械植えの速さ、福島の除染作業からの今に至るまでの営農の苦労など、
様々な貴重な体験とお話を伺うことができました。
 また、両日で勉強会、講演、ディスカッションを行いました。現在の研究進捗状況や、
バイオマスにかかわる講演、福島浜通りを中心としたあるべき姿について議論を重ね、
異業種の方々と幅広い視点で課題について話し合うことができ、非常に有意義な時間を
過ごすことができました。

 今回の福島ワークショップに参加させてもらったことで、炭素耕作社会というバイオマスを
主とした循環型社会の枠組みや将来について具体的に考える機会にすることができました。
実際に地域に赴き、視察・討論を行うことで自身には無い考え方や視点を得ることができ、
実りのあるワークショップでした。今後も、本事業で得た考え方を研究や将来に活かせるようにしたいと思います。

手植え体験の様子